外ではイヤフォンをつけてSpotifyのプレイリストを聴いている。スマホを見ない。本も読まない。世界をぼんやり視界に入れている。
一歩を踏み出そうとする人がいたとして、私は気づけるだろうか。とっさに動けるだろうか。止めるだろうか。立ちつくすだろうか。何かできることはあるだろうか。そう考えることは傲慢じゃないのか。
駅員が指差し確認をして、ホームに普通電車が到着する。反対側のホームで、特急電車が通過する。
転がり落ちる人がいる。進入する人がいる。飛び込む人がいる。生きている世界でも、その先でも、私はうまく話せない。