朝食におむすびを握った。わかめごはんのもとを混ぜ込んだやつ。炊き立てのごはんをまずお弁当箱にとりわけ、その残りを朝食にする。からあげとか、うまくいった卵焼きがおかずの場合、お弁当のごはんをはりきりたくなり、そのしわ寄せが朝食に行く。この日もそんな朝だった。なんか、ごはん、少ない気がする。気のせいか。たぶん気のせいだ。
おむすびはぎゅっと握ると小さくなる。うん、やっぱりごはんが足りなかったな。小さいや。でも何を小さいとするかは人それぞれなので、夫に委ねることにする。「ちょっと小さいかもしれない」と言って手渡す。夫は「ん」と言った。そして「海苔を巻く」と言った。
巻き寿司用の海苔を半分に切って、小さなわかめごはんおむすびを包んだ。「よし」と言った。あたかもその海苔の大きさが、重さが、おむすびの小ささをカバーするかのように。そこに大きなおむすびがあるみたいに、彼は口を大きく開けて海苔にかぶりついた。
残っているごはんは限られている。彼のおむすびを大きくするには私のおむすびを小さくするしかない。彼はそれをよくわかっていて、海苔を巻き、じゅうぶんに大きなおむすびを腹に入れたように「ごちそうさま」と言った。
たいした量を食べてないくせに、「わかめごはんっておいしいよね」と言って出かけて行った。