辞書はわからない言葉を引くためのものだけど、意味が予想できていて、あえて引くときもある。文章を早く読むなら知らない単語の意味の推測は不可欠で、推測で事足りるならいちいち調べなくていいんだけど、カフェでお茶やインテリアを楽しむのに似て、辞書に書かれてあることをじっくり読みたいとき、しばらくそこに留まりたいときがある。
preloved
以前愛された、だから、「中古」かな。当たり。「以前は人のものだった」の意味で、家やペットに対して。
婉曲的で、あまり使われない言葉。「中古」の類語で引いても、出てこない言葉。偶然、辞書の隙間に入り込んだみたい。
珍しく遅くまで出歩いた日、ネオンや提灯で光る町の中、もう誰も住んでいない家を見かけた。起き抜けに窓を開けたり、部屋のすみずみを掃除したりする誰かにprelovedされたんだろうと、信号待ちの間だけ思った。