好きな人の好きな人が好きなもの

パトリック・スチュワートの自伝が出版された。
「新スター・トレック」の艦長役の人である。
夫が大好きな人である。
艦長が作品中でホットのアールグレイを飲むので、夫も同じものを飲む。

自伝は夫のぶんはもちろん、私のも買った。
ちらっと確認したところ、どうもシェイクスピアへの言及がありそうだ。

パトリックはイギリスのロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身。
シェイクスピアの芝居で賞をとったことがある。
「新スター・トレック」にもシェイクスピアを絡めたシーンがある。
コロナ禍、パトリックはシェイクスピアのソネット(詩)を毎日朗読し、配信していた。

私は英文科卒なのだけど、言語学志望だったので、英文学史は機械的に覚えて通過した。
少し昔の英語がおもしろく、ソネットを読む演習には熱心に出席したものの、戯曲は読んでもいないし観てもいない。

卒業後、文学にも興味がわき、教科書を引っ張り出して独学してきたのだけど、シェイクスピアの戯曲の時期が来たようだ。
ちょうど最近、ナショナル・シアター・ライブ・アット・ホームという、イギリスの芝居を観られるサブスクを始めたところで、そこにはシェイクスピアもある。
翻訳を読んで、英語を読んで、芝居を観て、批評も読んでみる。
そして夫に解説する。

2時間かけて作ったぶり大根を一瞬で食べ、「おいしかった!」と言われるように、たぶん時間をかけて勉強して教えても、「紺ちゃんすごい!」しか言われない気がするんだけど、私の好きな人が、好きな人をより深く知る手助けができるならいい。

(それにしても私はどうして、あんなにソネットばかり読んでたんだろう……)