バターたっぷりのアップルパイ

apple-polish
直訳:りんごを磨く
意味:ごまをする

spread the butter thick
直訳:バターをたっぷり(厚く)塗る
意味:やたらとほめる、おべっかを言う

「海外のものだから無条件におしゃれ」と思うことはないけれど、こびへつらいに関しては英語がおしゃれだ。
日本語はごま、フランス語は乾燥インゲン豆。
成績を上げてほしくて先生のためにりんごを磨く生徒とか、買ってほしいものがあって朝食のトーストに気合いを入れる人などを想像する。

以前、海外のMOOCsで勉強した。
MOOCsは、世界の大学の授業に参加できるプラットフォーム。
夫がソフトウェアエンジニアなので、何が彼の考え方の基礎なのか、世界をどう見ているのかを少しでも知りたくて、プログラミングを選んだ。
アメリカとフランスの大学が共同で作った授業で、ある年の最優秀授業賞をとっていたものである。

プログラミングの初歩の初歩は、本当に簡単な問題しか出てこない。
コンピューターに”Hello”と表示させましょうとか、1+1を計算させましょうとか。
レベルが上がって、驚いた問題がこれ:
「これから森で9マイルのハイキングをします。1マイルごとにヘーゼルナッツを3つ拾います。1マイルごとに合計でいくつヘーゼルナッツをもっているか、表示させましょう」

森でハイキング!
ヘーゼルナッツ!!
日本なら、せいぜい太郎と花子が背景設定なしに、りんごとみかんとぶどうをなんちゃらする世界。

私はこの先生たちに、バターたっぷりのアップルパイを焼きたい。
こういう先生たちは、ぞんぶんにほめられて、ずっといい気分でいてほしい。