特別な青信号をきみに

「とうさん、まだ わたれないよ。」
「よし、よし。」
とうさんが いいました。
「いま、青にしてあげるから、まっていなさい。」
それから、ころあいを みはからって
「えいっ。」
といいました。

しんごうは、青になりました。
(ふうん。うちのとうさん、すごいんだ。)
くまの子は、かんしんしました。
(「えいっ。」っていえば、しんごう、かわっちゃうんだものな。)

三木卓「えいっ」

日曜日、夫とふたりでほっともっとに出かけた。私は最近疲れやすく、大きな音を聞きたくなかったので、遠回りして静かな道を選んだ。夫は私より背が高くて歩幅が広い。歩くのが速い。私は「ゆっくり歩いて」と頼む。

あと少しでほっともっとに着くあたりの交差点。横断歩道。信号が変わるのを待つ、つもりでいたら、すぐに青信号になった。私は「ちょうどいいね」とよろこんだ。彼は「紺ちゃんのために特別に用意した」と言った。ふうん、うちのおっと、すごいんだ。あらかじめよういできちゃうんだもんな。おやくしょのひとと、なかよしなのかな。

私は海鮮天丼とジュースを、夫はBIGのり弁当とチキンバスケットを買った。月曜日、私がお弁当を作らなくてすむようにするための、多めの唐揚げ。