ten-four

世界と自分のあいだに
無線担当者がいるみたい

好きなものを尋ねられて
なんだったっけと
立ち止まる

好きなものは
あるんだ
あるんだけど
「好き」に
つながる
までに
時間が
かかる

1日や1週間が終わる時
俯瞰して再生したり
相手の笑顔に気づいたりして
楽しかったんだと知る

思い出したことを話したあと
相手がつまらなそうにした時に
そうだそうだ、あの出来事には
「嫌」ってラベルがつけてあったんだと思い出す

喜怒哀楽好嫌がないわけじゃない
けど
あいだにひとりいるんだ

好きなものを書けばいいとか
撮ればいいとかいう人の話を聞くたびに
よくわからないと思っていた
遠くにある感じがしていた

好きなものは
あるんだ
あるんだけど
「好き」に
つながる
までに
時間が
かかる

時間を
かければ
いいんだ

昨日飲んだビールは
あんまり好きじゃなかったと
今気づいた

*10-4はアメリカのスラングで「了解」の意味。無線通信で使われる略語。