ちょっと待ってて

夫と日曜日にスーパーに行く。彼は歩くのが速く、すたすた先を行く。私は追いつけなくて、後ろから「歩くの速いです」と言う。彼は立ち止まって私を待ち、歩を緩めてまた道を行く。

この人は大学に入るまで2浪している。その期間、何をしてたのですかと聞くと、「紺ちゃんに会うために時間調整してました」と言う。彼が先見の明をもっていたおかげで、私たちは新卒で入った会社で同期として出会った。実態をよくよく確認すると、浪人1年目こそ予備校に通っていたが、2年目は図書館に通っていたらしい。センター試験に関係ない、ネットワーク技術の勉強をしていたらしい。ほんとうに私を待っていたのかもしれない。

私は浪人も留年もせずに卒業し、すみやかに就職しなければならなかったので、その2年間の余白がうらやましい。もともとの性格もあるし、同級生よりも2歳上になることも関係していると思う、彼は悠然だ。周りに流されず自分のことに集中し、成果を出す。頼もしい。憎たらしいくらい余裕がある。

いっしょに暮らしていて、至らないことが多いのは私のほうだ。彼の姿や行動を見て学び、反省しながら、なんとかよりよい人間になりたくて生きている。