英語の焼きびたし

ノートンアンソロジーは、辞書のような薄い紙に文学作品が集められた本だ。1冊1000以上ページある。字が細かい。私は毎日読んでいる。0.5のシャープペンは太すぎて、0.3、2Bで書き込む。単語を丸でかこんだり、長い主語部分にカッコをつけたり、線を引いたり、余白にメモしたりする。

200ページくらい読んだところで、そういえばと、ノートをつけることにした。この厚い本を1年で5冊読みたいのだ。主要なことは全部覚えたいのだ。まとめたい。

ページを最初から読みなおす。すでにメモが書き込んである。頭をひねりながら読んでいたわりに、わりとポイントをおさえた書き込みだ。少し見落としがあるが。よしよし。いい感じ。

印刷されたたくさんの英語が、丸や線やメモに集約されていくのを感じる。私はそれをノートに書きとり、覚える。

野菜の焼きびたしみたいだ。縦に二分割にしたナスに、さらに細かい縦の切れ込みを入れていく。焼く。つゆにつける。出汁が切れ込みから入り込む。ぎゅっと凝縮した旨味を箸ですくいあげて食べる。食べやすいが歯ごたえがある。おいしい。血肉になる。

今週から新しいチャプター、新しい下ごしらえ。