結婚生活の断片

日曜日の朝、洗濯機が壊れた。服とタオル、洗剤を入れてボタンを押したら、水が出なくなっていた。ぶしゅっ、ぶしゅっ、ぶぶぶしゅっ、と、洗濯機が水を絞り出したそうな音はする。

夫が大学生のときに買ってから、15年以上経ったものだ。物持ちがいい人に堅実なメーカーが合わさるとこうなるんだなという好例。洗濯機が現役なことを、彼はよく自慢していた。だから壊れていることをすぐに認めない予感がして、10分様子を見た。何もせず待ったり、ボタンを押したり、水道の栓を開けたり閉めたりした。壊れたと認定し、ようやく彼を呼び、「完全に壊れているので、私のせいにすることなく、余計なことも一切言わず、今日買いに行くと決めて調査を開始してください」と告げた。一瞬、いや、そうは言ってもさ、みたいな空気を出したものの、私がやったのと同じようにあれこれいじったあと、納得したように去った。

私は洗濯機に入れてしまったものを出し、お風呂で手洗いを始めた。排水口がついている、折りたたみのバケツ。壊れたのが、冷たい水が気持ちいい季節でよかった。洗剤の匂いは好きだ。窓から太陽の光が入る。ちょっと手出しして、ああこれは長くなると気づき、スマホを取りに行った。音楽を流す。1時間。私は手が小さく、水切りが甘くなる。床を濡らしながらベランダに行く。

同じメーカーの、同じシリーズにしよう。調査を終えた夫が部屋から出てきて言った。昔買ったときより高くなってるよーとぼやく。届くまで1週間はかかるよね。あとで電気屋さんに見に行こう。

部屋がびちょびちょになっていて、彼は私を手伝いたくても安易に手伝えない。終わるまで、少し離れて待っていた。

もともとあった外出の予定にヤマダデンキを追加する。何を買うかはもう決まっているのに、白い洗濯機ばかりの空間を行き来して、フタを開け閉めして、やっぱりこれだねと言い合う。店員さんに声をかける。夫が、何を引き取ってほしくて、ポイントや送料がどうで、到着日はいつか、最終的にどれくらいの値段になるかなどを確認する。それから移動して机に座り、店員さんが書類に細かく数字や記号を書き込む姿を見た。細かく指差し確認する動きに合わせて自分の頭を動かしていたら酔った。次は何年もつかね。

夫と結婚したんだなと思った日だった。