ノートンアンソロジーは、大きな時代説明のあと、個別の作家の説明と、重要な作品の全文あるいは抜粋を載せている本だ。英米文学専攻で大学院に入りたくて、今はアメリカ文学のものを読んでいて、次はイギリス文学のものを読む予定。
あまり理解されないと思うけれど、私はこのノートンアンソロジーが大好きだ。文学史的に重要なことはもちろん載っているんだけど、加えて些細なエピソードが散りばめられているのがいい。一般的な文学史の教科書に「有名な牧師」と書いてあるような人の説明で、ノートンは「代々宗教家という家系のプレッシャーで、不安や抑うつがひどかった」などと書いてある。感情移入して覚えてしまう。その人のパートを読み終えたら、「さん」づけで呼びたくなる。
先週はベンジャミン・フランクリンについて読んだ。彼はアメリカ建国の立役者のひとりとして、また自伝や発明で有名な人。加えて、奴隷制度や、私生児を生んだ場合、女性だけが処罰の対象だったことなどに反対した人。一般的な文学史の本の説明はここまで。ノートンには、自伝はもちろん、抗議の文章自体も掲載されていて、より多面的にその人に会える。ああ、こういう点に着目したのか、とか、こういう口調だったのか、とか、この文脈ね、とか。勉強という感じがしない。
ベンジャミン・フランクリンさんと言えるようになって、ノートにメモを残す。この蓄積で、私はどんな世界に行けるんだろう。