Writings

New Essays Every Monday

  • 6月4週目の日記

    6月19日(月)
    朝。仕事仲間に「今日、すぐにLINEを見れる時間ある?重大発表」と訊く。15時がいいという話になる。発表の少し前に、ひとりから「KPOPのカムバック(=新曲発売)みたいにドキドキする」とLINEをもらった。今日は私のカムバック。カムバック後の1ヶ月間、連日歌番組に出続けるKPOPアーティストはすごい。私は緊張しすぎて、発表後30分くらいで倒れそう。時間になって、デザインワークをひとつお披露目。グループLINEが祭のように盛り上がった。

    6月20日(火)
    気持ちが沈んでお腹が痛い。毎月それなりの周期でやってくるということは、すなわち健康なのだけれど、微妙な気持ち。メンタルがやられる日はコンテンツ没入と決めているので、延々とテトリスをした。レベルが上がって速度が上がると、体の瞬発力が必要になる。ハイスコアを出し、ひとっ走りしたような爽快感を得た。

    6月21日(水)
    近所の内科にいつもの薬をもらいに行く。帰り道、横断歩道で、上品なおばあさんに声をかけられた。「あのう、このあたりのお店は開いていらっしゃらないの? 知り合いが昔住んでいて、よくこの町のお菓子を持ってきてくださったから、買いにきたんだけど」と言われる。ええ、残念ながら。「でも、今日は水曜日、平日じゃない?」そうなんです。営業日より定休日のほうが多い店ばかりなんです。お気をつけてと見送る。外の人にツッコまれるほど活気のない、静かな町を私は愛している。

    6月22日(木)
    休みをとった夫とデート。電車で、年配のビジネスマンの横にうさぎのぬいぐるみが座っていた。うさぎの体が傾いてビジネスマンに寄るたびに、彼が丁寧に戻していたから、彼の同行者に違いないと思った。緊張を伴う仕事。そこについていくうさぎ。席を一人分確保するうさぎ。彼の降車でうさぎが取り残されたとき、「えっ・・・・・・」と悲しかった。

    6月23日(金)
    ミルハウザー、We Othersの後半を読む。おととい下読みしているので、読むのは今日で2回目。いつも気構えて緻密に精読するのだけど、今回は気楽にやってみようと思った。そうしたらずいぶん楽しかった。「このoffは何?」とかに都度止まらず、とりあえずoffっぽいイメージを想起したまま進む。結果、全体の理解に影響なし。家庭教師の先生が言っていた「楽しみましょう」ってこれか? 新しいレベルに上がれた気がした。

    6月24日(土)
    ほっともっとの九州チキン南蛮弁当を食べて、しばらくしてから昼寝①。英語の宿題が終わってる、仕事も考えない、気楽な昼寝。たくさん寝たあとに夫の部屋に行ったら、彼もベッドに横になっていた。横に抱きついて昼寝②。牛乳石鹸のボディソープが切れているので、いつもと匂いが違う。やはり牛乳石鹸でなければならない。シャンプーのいち髪の桜の匂いと相まって、とても素敵な匂いになる。夫にはこだわりがなく、「じっとしてても君がくっついてくるから都合がよい。しめしめ」と言って私が指定したものを使い続けている。こういう関係をwin-winという。

    6月25日(日)
    英文学レッスンの日。「英語、気を抜いて読めるようになってきましたよ」と伝えたら、先生に「それめっちゃprogress!そういうのが大事なんよ」と褒められた。アメリカ生まれ、日本の永住権を持っている人で、昔九州の大学に長く勤めていた影響で九州の言葉も話せる。英語、日本語の標準語、九州弁が混じる授業は、たぶん外から見たらカオスだ。特に今日は細かい質問が少なく、ディスカッションに時間を割いたので、ミックスぐあいがおもしろかった。

  • 金曜日の夜のように

    make it a Friday night
    意味:金曜の夜のように楽しくやる

    「プチ祝いしちゃおう」とか「すっきりしたい」というときに思い出すフレーズ。

    最近ひとつ悩みごとがあって、どうしようか考えあぐねていた。
    週末に夫とたくさん話して、日曜日の午後、一旦の解を導き出せた。
    家庭教師の先生と読んでいる本が、日本で出ている単行本1冊分、読み終えられたことも重なった。
    「楽しいことをしよう」と、スーパーに繰り出す。
    今夜はピザパーティー。
    ちょっとお高めのお酒も開けちゃえ。

    うちのピザ生地のレシピは簡単で、混ぜるだけ。
    雑に作っても問題ないので、作っていて楽しい。
    ケチャップとマヨネーズ、すりおろしにんにくを混ぜたピザソース、そのうえにトマト、モッツァレラチーズ、ちぎったバジルをのせて焼く。
    つけ合わせは、ホタテのカルパッチョサラダ。
    レタス、タマネギ、かいわれといっしょに盛りつける。

    「できたよー」と夫を呼ぶと、るんるんで現れた。
    食欲がそのまま表れているような接写写真を撮ったあと、マルゲリータにまっしぐら。
    お酒を飲むスピードに対して、ピザを食べるスピードが速すぎる。
    自分のぶんを食べ終わり、私のを物欲しそうに見つめる始末。
    この時間を楽しんでいるみたいなので2枚目を焼いた。
    今度はマヨネーズ、しらす、青のりの、小さめのピザ。
    こちらも早々になくなった。

    洗い物が終わって彼を探すと、私のベッドに寝転がっていた。
    好物とお酒で腹を満たし、ご機嫌である。
    私がベッドに座ったら、待ってましたとばかりに抱きついてきて、そのまま寝落ちした。
    身動きがとれない。

    本当はここで一緒に寝落ちしたいところだけど、お風呂と歯磨きは欠かせない。
    しばらく寝かせて、酔いが覚めた頃に起こそう。
    それまで暇なので、Spotifyカラオケをした。
    バックストリートボーイズ(BSB)の曲を、歌詞を見ながら歌う。

    幼い頃、BSBの大ファンのクラスメイトが、毎日、お昼になったら放送室にCDを持って行っていた。
    給食の時間に必ずI Want It That Wayが流れる。
    すりこまれた影響で、ファンは増え、男女問わずクラスのみんなが歌えるようになった。
    後半のハモりとか、高音を効かせる役も自然と現れるくらいだった。
    私はBSBの音トレースだけで、英語の発音がめちゃくちゃよくなった。

    そんなことを思い出しながら、歌詞のshe、her、girl、womanを全部男性に変換して歌う。
    横にいる夫に、「大好きだよ」「君なしじゃだめ」「浮気してごめん」「やっぱり忘れられない」「どうしてあんな人を好きになるの」みたいなメッセージを、都度感情移入して捧げる。
    気持ちの転換が忙しくて、夫が全然聞いてなくて、おもしろくなる。
    「こんな歌詞をみんなで熱唱してたのかー」「英語の発声楽しいなー」と思う。

    お腹をくすぐって起こす。
    寝る支度をする。
    「またあした」と言ってそれぞれの部屋に行く。
    こういう日が続けばいい。

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  • 6月3週目の日記

    6月12日(月)
    夫が顔を私の顔に近づけて、目を高速にぱちぱち動かす。長いまつげがほっぺに当たってくすぐったい。ふたりで笑う。

    6月13日(火)
    冷房の運転開始。今年もよろしくお願いします。本格的な衣替え。注文していた新しいプチバトーのTシャツが届く。夏用の寝具も出す。さらさらのリネンが気持ちいい。ついでに、もう使わない化粧品を捨てたり、薬箱の整理をしたり。防災ボックスのローリングストックの確認をしばらく忘れていたのを思い出す。やらねば。

    6月14日(水)
    病院と美容室をはしご。髪を伸ばしている最中で、今は毛先が肩に当たるくらい。カット後、ヘアアイロンで毛先をカールしてもらったら、スパイファミリーのアーニャみたいになった。私は普段、アーニャとヨルさんをたして2で割った感じと言われる。好奇心が強くて言い間違いの多いところがアーニャ、仕事を迅速で瞬殺する、本質を刺しに行くところがヨルさんの要素。私のことをよく知っている美容師さんは、この話を聞いて、お腹を抱えて笑っていた。しばらく鏡からフレームアウトしていた。昔、「私、しいたけ占いによると『金属バットをもったリス』らしいです」と言ったときも爆笑していた。なぜか間違えて「チェーンソーをもったリス」と覚えられている。

    6月15日(木)
    地元九州の醤油屋、ジョーキュウで注文した味噌が届いた。小学生の頃、家庭科の課題で自分で味噌を選んでから、ずっとここの麦味噌。この味噌といりこだしで作る味噌汁が大好き。思い立って、カスタマーセンターに電話した。年に数回買い物をするけど、私が注文したあとのタイミングに限ってダイレクトメールが届いていたので、止めてもらうことに。担当の男性に「わざわざ御社からご連絡いただかなくても、こちらから積極的に情報を取りに参ります」と伝えたら、「ははははは」と声が遠くなった。つい電話を離すか体を反らすかしたらしい。「ありがとうございます」と言いあって終わった。

    6月16日(金)
    歯列矯正の調整日。担当の女医さんは、私がメーカーで働いていたことを知っている。だからよく、ものづくりとかコスト削減の話をする。今日は、歯列矯正器具のメーカーのシェアは海外メーカーが大半で、その影響で値上げが著しいという話だった。今年の10月から、器具代も調整代も値上げの予定。私は2年かかる見込みで、去年の10月からなので、1年お得だ。「先見の明がありますよ」と言われた。えっへん。

    6月17日(土)
    歯が痛くてごはんを食べにくい。小さく切ってやんわりと噛み、飲み込む。

    6月18日(日)
    体調が悪いものの、週末にしかできない仕事をする。写真を夫にまかせ、私はそのディレクションとデザインを。共同で何かを作るのは、どんなにささいなものでも楽しい。撮影用の布は紙で代用した。注文の多いディレクター。着々と仕事をこなして納品するフォトグラファー。加工して、「めっちゃいいやん」と自画自賛のデザイナー。