Writings

New Essays Every Monday

  • 採点

    登場人物
    紺:英文科卒。文学を引き続き学ぶため、家庭教師の先生に隔週の授業をお願いしている。
    先生:日本在住のアメリカ人男性。都内の大学で教える。アメリカ文学と日本文学(村上春樹や安部公房など)が好き。

    ふたり、日曜日、朝の11時30分頃、Skypeビデオ通話
    一緒に課題作品を精読する時間もそろそろ終わる

    先生「ここのtalkedは、discussedでもいけるね。In a much-discussed filmとかね」
    紺「先生、映画で思い出しました。今お伝えしないと忘れるのでちょっと脱線します。安部公房の『箱男』が映画化されます」
    先生「ええっ!」
    紺「先生って基本的にメールの返信くださるじゃないですか。映画化に触れたときのメール、特に返信なかったんですよ。それで、『ああ、採点で忙しいんだなあ』と思って。いつかもう一度言わなくちゃって」
    先生「いつ!公開中!?行かなきゃ」

    紺、ウェブ上の記事をSkypeで画面共有
    先生、2回スクリーンショット

    紺「今カンヌ、いやベルリン映画祭にいらっしゃるので、今年のどこかで公開です」
    先生「はっ、『箱男』が招待された映画祭がぼくの誕生日近くにクロージングするってすごいよ。次は日本での公開だよ」
    紺「そういえば、新宿の本屋で安部公房フェアが開催されてるみたいです」
    先生「ぬぁんだって!?」

    紺、Xで見たポストをSkypeで画面共有
    先生、1回スクリーンショット
    先生、自分のスマホを取り出して情報を探す

    紺「紀伊國屋書店新宿本店ですね。ミニ箱男がいますね」
    先生「ああ、『飛ぶ男』の文庫も出たんですか!?行かなきゃ」

    そのまま15分、安部公房談義は続く
    先生、気持ちが落ち着く

    紺「先生、私が大学生なら、今期の成績はどれくらいですか」
    先生「A++」

    To my teacher whose birthday is today. This is a literary photo we shared together. A little bit funny, so precious. I can’t thank you enough. Take goooooood care of yourself:)

  • 踏んだり蹴ったり

    Amazonで買ったものに不具合があったので、返品のためローソンに行きたいと夫が言った。不安そうなのでついていく。メルカリの発送作業に似ていた。平日なら郵便局でもできる。

    スーパーまでの道、
    私「軽いものなら平日に私がやるよ。スーパーに行く途中で、ほら、あの郵便局Aに行ける」
    夫「ああ、そういえばあそこにあったね」
    私「ジムに行く途中で、郵便局Bにも行けるし、郵便局Cにも行けるよ」
    夫「それってどれくらい大きいの?」
    私「どこも変わんない。大きさ求めるなら、反対方向の郵便局Dでしょ。他は踏んだり蹴ったりだよ」
    夫「ん?」
    私「ん?踏んだり蹴ったり」
    夫「違うよな」
    私「ん?ほ。違う気がする。でもなんだっけ」
    夫「『似たり寄ったり』な。どこ行っても踏んだり蹴ったりって、ひどいぞ」
    と言って笑った。

  • 私の芝生

    友人のウェブサイトと、その友人と始めるポッドキャストのウェブサイトを作っていたら、自分のペンネームのウェブサイトも作りたくなりました。

    なんといっても安いんです。ウェブサイトはドメイン(アドレス)とサーバー代で年間2000~3000円。私がペンネームではてなブログを始めたのは、ちょうど1年前。広告なしにしたくて、月1000円払っていました。それが節約できます。

    ドメインを取るにあたって、今まで下の名前だけだったペンネームに苗字をつけることにしました。実名の苗字は珍しすぎて使えません。いくつかリストアップした中から「川瀬」に決め、夫に伝えました。彼から「かわせー」と呼ばれて、愛着が生まれました。赤ちゃんはこんなふうに、名前という記号と自分を合わせていくのでしょうか。

    ドメインとサーバーの契約は、時間がかかりつつも終わりました。WordPressでのデザインは、いつ何個やっても楽しいです。はてなやnoteではあまりいじれないぶん、自由に設計できる更地は輝いて見えました。これまで書いてきた文章を移し、パソコンとスマホを行き来しながらデザインを細かく修正しました。

    作家のオースティン・クレオンさんが、自分のドメインでブログを始めることを、芝生に例えています。

    The beauty of owning your turf is that you can do whatever you want with it.
    自分の芝生をもつ。やりたいことを何でもできるのが魅力。

    It feels good to reclaim my turf. It feels good to have a spot to think out loud in public where people aren’t spitting and shitting all over the place.
    土地を開拓して芝にするのは気分がいい。人目を気にせずに、独り言を言える場所があるって気持ちいい。そこには、いたるところで唾を吐いたり、汚したりするような人がいないんだ。

    芝生に大の字になって寝転がるように、のびのびと書いていきたいです。はてなブログと同様、また読んでいただけたら嬉しいです。