New Essays Every Monday
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何を書きたいか
エッセイを週1回、3本更新している。最近はここに隔週1回のポッドキャストも加わった。シーンを切り取るという意味で、エッセイとポッドキャストは似ている。
ペンネームで書き始めたのは1年前で、その時から週1で3本だった。はてなブログ(今はすべてここに引っ越し済み)。調子が悪いとスキップしたり、本数を減らしたり。基本のリズムはそのままなので、我ながらよく続いているなと思う。
その前のブログは、月1で1本書くかどうかくらいだった。それが週1で1本になり、でも書き続けるのが難しくて、週次報告書みたいな箇条書きのものになった。
箇条書きの文章も、日記も、わりと「形が書かせる」タイプのものだと思う。形が決まっているので書きやすい、悪い言い方をすれば考えなくても書ける。書かせる形ゆえに、いつのまにか露骨に表出してしまうものがある。1年前に書いていたものの3分の1は短い日記だったのだけど、それですら、私はずいぶん気をつけていた。日記目当ての人たちがブックマークしてきたり、他の人のもっと長い日記にはてなスター(いいねの機能)が集まったりするのが少し気持ち悪かった(日記好きな人を否定はしない)。
何が書けるかではなくて、何を書きたいかが大切。それを学べたので日記を書いて公開していてよかった。日常の断片を切り取るのが好き。直接的に書かないことで、何かが浮かび上がるのが好き。遊ぶのが好き。新しい形式を試すのが好き。
詳細な日常の記録で、「ああ、この人はこんな日常を送っているんだ」と共感してもらわなくていい。大勢の人に「変なの」「何がおもしろいんだろう」「つまり、何?」「感動や実用性がないじゃん」と思われてもいい。たまに、ごくわずかな人が、読んだあとについ少し口角を上げちゃうようなものを書けたらいい。もちろんそうできなくてもいい。私は私がおもしろいと感じる文章を書く(し、話すよ)。
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採点
登場人物
紺:英文科卒。文学を引き続き学ぶため、家庭教師の先生に隔週の授業をお願いしている。
先生:日本在住のアメリカ人男性。都内の大学で教える。アメリカ文学と日本文学(村上春樹や安部公房など)が好き。ふたり、日曜日、朝の11時30分頃、Skypeビデオ通話
一緒に課題作品を精読する時間もそろそろ終わる先生「ここのtalkedは、discussedでもいけるね。In a much-discussed filmとかね」
紺「先生、映画で思い出しました。今お伝えしないと忘れるのでちょっと脱線します。安部公房の『箱男』が映画化されます」
先生「ええっ!」
紺「先生って基本的にメールの返信くださるじゃないですか。映画化に触れたときのメール、特に返信なかったんですよ。それで、『ああ、採点で忙しいんだなあ』と思って。いつかもう一度言わなくちゃって」
先生「いつ!公開中!?行かなきゃ」紺、ウェブ上の記事をSkypeで画面共有
先生、2回スクリーンショット紺「今カンヌ、いやベルリン映画祭にいらっしゃるので、今年のどこかで公開です」
先生「はっ、『箱男』が招待された映画祭がぼくの誕生日近くにクロージングするってすごいよ。次は日本での公開だよ」
紺「そういえば、新宿の本屋で安部公房フェアが開催されてるみたいです」
先生「ぬぁんだって!?」紺、Xで見たポストをSkypeで画面共有
先生、1回スクリーンショット
先生、自分のスマホを取り出して情報を探す紺「紀伊國屋書店新宿本店ですね。ミニ箱男がいますね」
先生「ああ、『飛ぶ男』の文庫も出たんですか!?行かなきゃ」そのまま15分、安部公房談義は続く
先生、気持ちが落ち着く紺「先生、私が大学生なら、今期の成績はどれくらいですか」
先生「A++」To my teacher whose birthday is today. This is a literary photo we shared together. A little bit funny, so precious. I can’t thank you enough. Take goooooood care of yourself:)
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踏んだり蹴ったり
Amazonで買ったものに不具合があったので、返品のためローソンに行きたいと夫が言った。不安そうなのでついていく。メルカリの発送作業に似ていた。平日なら郵便局でもできる。
スーパーまでの道、
私「軽いものなら平日に私がやるよ。スーパーに行く途中で、ほら、あの郵便局Aに行ける」
夫「ああ、そういえばあそこにあったね」
私「ジムに行く途中で、郵便局Bにも行けるし、郵便局Cにも行けるよ」
夫「それってどれくらい大きいの?」
私「どこも変わんない。大きさ求めるなら、反対方向の郵便局Dでしょ。他は踏んだり蹴ったりだよ」
夫「ん?」
私「ん?踏んだり蹴ったり」
夫「違うよな」
私「ん?ほ。違う気がする。でもなんだっけ」
夫「『似たり寄ったり』な。どこ行っても踏んだり蹴ったりって、ひどいぞ」
と言って笑った。