Writings

New Essays Every Monday

  • 6月3週目の日記

    6月12日(月)
    夫が顔を私の顔に近づけて、目を高速にぱちぱち動かす。長いまつげがほっぺに当たってくすぐったい。ふたりで笑う。

    6月13日(火)
    冷房の運転開始。今年もよろしくお願いします。本格的な衣替え。注文していた新しいプチバトーのTシャツが届く。夏用の寝具も出す。さらさらのリネンが気持ちいい。ついでに、もう使わない化粧品を捨てたり、薬箱の整理をしたり。防災ボックスのローリングストックの確認をしばらく忘れていたのを思い出す。やらねば。

    6月14日(水)
    病院と美容室をはしご。髪を伸ばしている最中で、今は毛先が肩に当たるくらい。カット後、ヘアアイロンで毛先をカールしてもらったら、スパイファミリーのアーニャみたいになった。私は普段、アーニャとヨルさんをたして2で割った感じと言われる。好奇心が強くて言い間違いの多いところがアーニャ、仕事を迅速で瞬殺する、本質を刺しに行くところがヨルさんの要素。私のことをよく知っている美容師さんは、この話を聞いて、お腹を抱えて笑っていた。しばらく鏡からフレームアウトしていた。昔、「私、しいたけ占いによると『金属バットをもったリス』らしいです」と言ったときも爆笑していた。なぜか間違えて「チェーンソーをもったリス」と覚えられている。

    6月15日(木)
    地元九州の醤油屋、ジョーキュウで注文した味噌が届いた。小学生の頃、家庭科の課題で自分で味噌を選んでから、ずっとここの麦味噌。この味噌といりこだしで作る味噌汁が大好き。思い立って、カスタマーセンターに電話した。年に数回買い物をするけど、私が注文したあとのタイミングに限ってダイレクトメールが届いていたので、止めてもらうことに。担当の男性に「わざわざ御社からご連絡いただかなくても、こちらから積極的に情報を取りに参ります」と伝えたら、「ははははは」と声が遠くなった。つい電話を離すか体を反らすかしたらしい。「ありがとうございます」と言いあって終わった。

    6月16日(金)
    歯列矯正の調整日。担当の女医さんは、私がメーカーで働いていたことを知っている。だからよく、ものづくりとかコスト削減の話をする。今日は、歯列矯正器具のメーカーのシェアは海外メーカーが大半で、その影響で値上げが著しいという話だった。今年の10月から、器具代も調整代も値上げの予定。私は2年かかる見込みで、去年の10月からなので、1年お得だ。「先見の明がありますよ」と言われた。えっへん。

    6月17日(土)
    歯が痛くてごはんを食べにくい。小さく切ってやんわりと噛み、飲み込む。

    6月18日(日)
    体調が悪いものの、週末にしかできない仕事をする。写真を夫にまかせ、私はそのディレクションとデザインを。共同で何かを作るのは、どんなにささいなものでも楽しい。撮影用の布は紙で代用した。注文の多いディレクター。着々と仕事をこなして納品するフォトグラファー。加工して、「めっちゃいいやん」と自画自賛のデザイナー。

  • 憧れのモーニングルーティン

    wake up and smell the coffee
    直訳:起きてコーヒーの匂いをかぐ
    意味:現実に目を向ける、ちゃんと目を覚ます

    コーヒーで始める1日に憧れながら、朝は白湯を飲む。
    コーヒーショップで働いていたことがあるくせに、コーヒーが得意じゃない。
    香りは好きだ。
    味も好き。
    産地で味が変わるのも好き。
    器具にこだわるのも好き。
    とても上手にドリップできる。
    ただ胃が受けつけない。
    デカフェでもだめ。
    デカフェエスプレッソのラテなら、体調のいい日にかろうじて。

    名古屋はモーニングサービスの充実した街だ。
    毎朝同じ店に行ったり、行きつけの店のコーヒーチケットをもっていたり、店員に「いつもの」でオーダーが通ったりすることが人々の日常。
    そういう店にデカフェはないし、ラテもない。
    もう名古屋に来て何年も経つけれど、いまだに重要な部分に溶け込めていない気がする。
    コメダにはたまに行くものの、頼むのはホットココア、背伸びしたおこちゃま感が拭えない。

    白湯にモーニングを出してくれる店はないだろうか。
    もちろん白湯に課金する。
    白湯を飲んで、ゆっくり体を起こして、おいしいトーストを食べて、同じことをやっている人たちとの一体感を得て、1日を始めてみたい。

  • この任務を遂行せよ:スタートレックのクロスワードパズル

    夫はスタートレックのファンだ。
    とりわけ「新スタートレック」シリーズ(通称TNG)のピカード艦長が好きだ。
    ピカード艦長が船の中で、ホットアールグレイティーを飲むので、夫も毎日飲んでいる。
    私はもともと「SFって難しそう・・・・・・」というイメージでいたけれど、夫があまりにもスタートレックを愛しているため、好きな人の好きなものを知ってみようと観た。
    以来私もすっかりファンである。
    (私は「ディスカバリー」シリーズが好き。次点にTNG)

    TNGの中に、こんな言葉がある。

    Space: the final frontier. These are the voyages of the starship Enterprise. Its continuing mission: to explore strange new worlds, to seek out new life and new civilizations, to boldly go where no one has gone before.
    宇宙、そこは最後のフロンティア。これはUSSエンタープライズが、任務を続行して、新世界を探索し、新しい生命と文明を求めて、人類未踏の地に航海した物語である。

    この”boldly go where no one has gone before”「誰も行ったことのない場所へ大胆に向かおう」は、うちの暗黙の家訓である。
    根っからのインドアなので、好奇心強く新しい場所に行くことはないけれど、夫婦のやりとりはユーモラスで、即興芝居的で、挑発的で、常に新しいものを求めている。

    水曜日、外出したついでにプレゼントを買った。
    夫は飲み会で帰りが遅くなる。
    私は自室でビールを飲みながら、「このまま渡してはいけない」と思った。
    家の中に隠して、クイズを解くと次のクイズの場所が書いてあり、最終的にお宝が見つかるようなゲームは既に昔やってしまった。
    同じことはできない。
    ピカード艦長を敬愛するエンジニアの妻として、夫が「そうきたか」と感心するようなことを発明せねばならない。

    というわけで、スタートレックの言葉を使ったクロスワードパズルを作った。
    言葉とヒントの文章を入力すれば、自動的にパズルを生成してくれるサイトを使った。
    できたものがこちら:


    3 アンドロイドのデータ少佐を作った博士
    6 宇宙艦隊の候補生を訓練する施設
    7 ホログラムを使ったデバイス
    8 ピカード艦長役、パトリック・スチュアートの自伝のタイトル


    1 あなたの妻が習得を試みた言語
    2 スタートレックの脚本家、プロデューサー、創案者
    4 TNGのシーズン6、第15話のタイトル
    5 ピカード艦長がレプリケイターにいつもオーダーする飲みもの

    帰宅は11時頃だった。
    眠いかなーと心配していたけど杞憂だった。
    「またやっちまったんだな」と言いたげな、キラキラした目で机につき、文字を書き込んでいった。
    私はこういう時の夫を見ているのがとても好き。
    最近仕事が大変そう。
    家ではちょっとでも、素でゆるまってほしい。

    ピンクの蛍光ペンで印をつけてある文字を組み合わせて出てきた場所に向かった。
    お宝とご対面の瞬間、私は後ろで拍手していた。
    任務完了!

    次はどんなことをしようかな。

    サムネイルのフォント作成:
    スタートレックフォント

    クロスワードパズルメーカー:
    Crossword Puzzle Maker | World Famous from The Teacher’s Corner