Writings

New Essays Every Monday

  • 火事はどこ?

    Where is the fire?
    直訳:火事はどこですか
    意味:そんなにスピードを出してどこに行くのかね

    スピード違反したドライバーにかける警官の言葉。
    そんな状況でもユーモラスなの、すごいな。
    先週の私に言ってあげたい。

    焦らなくていいことを焦って疲れた。
    回復に数日を要するのは久しぶりだ。

    本を読めない日はコナンを観ている。
    このところ、アマプラで何回観ても「続きを観る」が表示されなくて、どこまで観たのかわからなくなっていた。
    雑に選んだら、少年探偵団が火事にまきこまれる話だった。
    おっと、私はここに駆けつけてたの?

    設定を確認したら、夫のアカウントで観ていたことがわかった。
    アプリをインストールしなおしたとき、選択し忘れていた。
    彼のホームはさぞかしコナンだらけだったことでしょう。
    自分のアカウントを選んだら、ちゃんと「続きを観る」が出てきた。
    小さなことにでも、立ち止まるのは大切。

  • 5月4週目の日記

    5月22日(月)
    疲れているとき、よく言い間違える。頭と口が一致しない。これまでの実績は
    ・換気扇→かつおぶし(「か」と文字数の一致)
    ・お風呂に入ってください→クローゼットに入ってください(とにかく入ってほしかった)
    ・おかげ横丁で食べ歩きしたいです→おかげ横丁で食い逃げしたいです(とにかく食べたかった)
    今日の新作は、「鶏胸肉でお仕置きしたい」だった。本当は「鶏胸肉で作り置きしたい」と言いたかった。

    5月23日(火)
    「きょうのはてなブログ」にピックアップしてもらえた影響で、アクセス数が伸びた。引用箇所は、手間をかけたキッシュを夫が一瞬で食べたところだった。帰宅した夫が「ぼくの手柄ってことやな」と言った。「ん?」と返したら、主語が「ぼくたち」に変わった。ぶんぶん激しい握手をした。

    5月24日(水)
    ホットケーキが苦手だったけど、最近好きなレシピを見つけて、朝食に焼いている。ふわふわじゃなくて、もちもちが好み。卵1個、牛乳100CC、小さめ4枚というキリのよさも気に入っている。仕事柄、味や食感はもちろん、製造しやすさも気にしてしまう。こういう細かさとか微調整、なんか人生って感じ。

    5月25日(木)
    ミルハウザーのThe Next Thingの予習。いつのまにか現れたディストピア。友人が好きそうな作品。夕食はゴーヤチャンプルー。ゴーヤの種が真っ赤に熟れていて、ぎょっとした。先週肉屋で仕入れたウィンナーと、男前豆腐を混ぜる。味付けが薄すぎて、ラー油が出勤。クラフトビールを1缶、ふたりで分ける。お高めのやつ。彼は自分では買ってこないけど、私が買ってくると積極的に飲む。もう少し遠慮してくれてもいいぞ。謙虚さがあると、こちらも分けてあげてもいいかなという気持ちになるものだ。

    5月26日(金)
    午後がまるまる会議の見込みだったので、朝をゆっくり過ごした。なぜ「ワッフルを焼こう」と思ったのかわからない。砂糖と卵に泡立て器でしゃかしゃか空気を含めているとき、なかなか角が立たなくなってから後悔した。ここまで時間をかけて食べたいのかワッフル。ここまで時間をかけたら食べたいと言わなくちゃいけないワッフル。まだかな。ハンドミキサーが欲しいな。うーん。あー。腕痛い。そういえばー……。結局頭が仕事モードになり、考えごとをしながら作った。結果オーライ。はちみつがよく合う味だった。

    5月27日(土)
    4月にあまり食事を摂れなかった影響でぱさぱさだった体に、潤いが戻ってきた。栄養が行き渡っている感じがする。髪がつやつや。肌がぴかぴか。お風呂でコンディショナーを洗い流すとき、スキンケアをなじませるときの感触が違う。底に落ちても戻るんですねえとしみじみ。とはいえ月末オブ月末、しばらくの食事は質素に。トマト、レタス、卵の和風スープがおいしかった。

    5月28日(日)
    文学の個人レッスン。ミルハウザーのThe Next Thing。彼はなぜこんな文章を書けるのでしょうかという、疑問文に見せかけた感嘆文を毎回生成している。今回はミルハウザーにしては珍しく事件が展開する。異質なものがじわじわ侵入する、不気味な感じはさすが。昨日から始めたお腹の筋トレの影響が早速出ている。じわじわ痛い。じわじわ梅雨が来る。じわじわだらけの日。

  • 夏の蝶々

    have butterflies in one’s stomach
    直訳:お腹の中に蝶々をもっている
    意味:そわそわして落ち着かない、はらはらする、胸がどきどきする

    大学生のとき、日本人の教授に送った英語のメール。
    単にnervousと書けばよかったところに、have butterflies in my stomachと打った。
    「なんて美しい表現なんでしょう」という感じの返信をもらった。
    権威ある立場の先生だから、この表現を知らないはずはないだろうと思っていた。
    知らなくて純粋に驚いたのか。
    知らないふりをして、初めて見たように言ってくれたのか。

    このところ、そわそわしている。
    仕事のチームメンバーが増えるのだ。
    その人のことが心配なんじゃない。
    私はどちらかというと仕事を作るほう、雇用を生むほうの立場で、私/私たちの仕事に他の人を巻き込んでしまっていいのかしらと思う。
    失敗しても一緒に笑い飛ばしてくれそうな人なのに、緊張してしまう。

    Tシャツを着る。
    裾を少し持ち上げ、空気を含ませる。
    その拍子に、蝶が入ってくる。
    Tシャツと空気の膨らみの中で蝶が動く。
    お腹に羽が当たってくすぐったい。
    深呼吸する。
    裾をもう一度上げると、蝶が外に出て飛んでいく。
    太陽の光を受けて輝く。
    持ち上げたままのTシャツに影が映る。
    勝手にそんなイメージをして、不安に隠れた尊さを見逃さないようにしている。