Writings

New Essays Every Monday

  • 9月6日(水)
    手術の日。医療従事者のチームワークはすごい。私が手術台に横たわる傍らで、声を掛け合い、てきぱき仕事をしていく。私はひとりで考えたり調べたりする空間と時間が多めに必要で、かつ人とのコミュニケーションの時間はひとりの時間と切り離したいタイプなので、彼らのようには働けないなと感嘆していた。オペは寝ている間に終わった。麻酔が抜けるまで気持ち悪かった。吐き気が強いし、体が痛くて眠れないしでたいへんだった。

    9月12日(火)
    経過が悪いところがあって再手術。前回は緊張しっぱなしだったのに、2回目は落ち着いていた。唯一、麻酔が切れたときのことを心配していたけど、短時間、麻酔量少なめですんだので平気だった。

    9月13日(水)
    医師が、今度の経過は順調に見えると話していて少し安心した。太い緊張の糸がぶちっと切れて泣いた。看護師に処置されることに慣れてきた。

    9月14日(木)
    医師が、経過が順調だと話してくれて心の底から安心した。

    9月16日(土)
    医療用ホチキスを取ってもらった。残りは、再手術分の抜糸だけ。数日先でも、先のことを考えると待ちくたびれるので、毎日その日の、目の前にあることにだけ集中して、感謝するようにしている。

    9月17日(日)
    スープストックトーキョーで買っておいた冷凍カレーを夫と食べる。夫は東京チキンカレー、私はえびのフレンチカレー。「おうちスープストックだ!」と言って楽しんだ。

    事実列挙の文章は好きじゃなくて、それを経てどう思ったかとか、何を連想したかを中心に書きたいのだけど、このところそのスイッチがオフになっていてうまくいかない。冷静に、落ち着いて、無感情でいようとする感じ。時間に「淡々と過ぎていってください」と思いつつ、心のだいぶ奥のほうで、「つまらん」とふてくされている。

  • 8月28日(月)
    たくさん勉強をしてから名駅へ。夫が飲み会でいないので、普段食べないものを食べちゃえと思い、ウニと白ワインを買った(夫はウニが嫌い)。気持ちが落ちているときの策にはいくつかのレベルがあるけれど、その中のデンジャラスレベルのとき用のリストに入れようと思う。繊細な味なので、静かにゆっくりと食べたほうがよく、そうなると自然と瞑想的な感じになり、リラックスする。正直、この量がこんなに高いの!?という感じだったけど、新しい発見があってよかった。いつか、瓶詰めのおいしいやつを取り寄せるぞー。

    8月29日(火)
    体調がすこぶる悪い。私には子どもがいましたっけ? 3人くらいおんぶしてましたっけ? と勘違いするくらい、肩から頭にかけてずーんと重かった。頓服の薬が1錠では効かなくて、もう1錠飲み、昼間から寝ていた。帰ってきた夫も体調不良。風邪の咳を引きずっていて、しゃべるのが大変そう。夕食はごま豆乳鍋を一緒に作った。作りながら、今日のできごとを話した。

    8月30日(水)
    嫌なメールのやりとり。疲れた。

    8月31日(木)
    単語帳の単語編が終わり、熟語編に入った。「熟語って、知ってる動詞と前置詞の組み合わせでしょ!」と見込んでいたけど、とても甘かった。知らない単語と知ってる前置詞の組み合わせだった。もはや熟語編というか単語編の延長戦である。それでもすべての動詞の意味と語源を調べて書き込んだら、なんとなく覚えられそうな気になった。

    9月1日(金)
    一日中伏せっていたが、久しぶりの友人とのLINEで癒やされる。東京に行ったら一緒にごはんを食べたい。年を重ねてからこそ話せることってあるんだなあと思った。最近、あまり好きじゃないと思っていたグループLINEを退室したり、頻繁に既読スルーしてくる人をアドレス帳から消したりした。大切にしたい人とそうではない人がわかるようになって、よい。返信がゆっくりでも率直に話してくれる人が好き。

    9月2日(土)
    熟語を覚えられる見通しが立つ。単語も熟語も、キモは面倒くさくても語源を調べることだと思う。そこからイメージ記憶までもっていければ忘れない。私は「英語ができる人」のロールモデルを、英文読解の本で有名な北村一真先生にしている。私が学部生だったとき、同じゼミの院生だった先輩。難しい英語をゴリゴリに読む姿に感銘を受けすぎて、私はどれだけ英語ができるようになろうと、「北村さんには及ばぬ」と自戒する。今日も熟語を覚えた。しかし北村さんには及ばぬ。

    9月3日(日)
    しばらく手術で不在にするので、食材の買いだめと、おかずの作り置き。夫は自分のために料理しないし(私と一緒)、買ってくるものも揚げもの、肉、カップ麺、ポテトサラダ、マカロニサラダになりやすくてよくない。とはいえ、そんな悪魔の楽しみもわかるので、ほどほどの作り置きにする。生理で頭がぼけーっとしていて、休み休み台所に立っていたら、彼がやってきて「体調が悪いの、ぼくが足りないせいだよね。ごめん。反省してる」と言ってぎゅーっと抱きしめてくれた。私が作ってさしあげたレモンサワーでほろ酔い&ご機嫌。おもしろくて元気が出た。夕食は途中から一緒に作ったスンドゥブチゲ。

  • 8月21日(月)
    ルセラフィムのライブチケットを発券しにいく。帰って調べたら、彼女たちよりも天井のほうがよく見えそうな席だった。ライトスティックをもってなくて気が引けるので、ちょうどいい。

    8月22日(火)
    夫がセミロングが好きらしいということで伸ばしていたが、ショートボブに戻すことにした。「ふわふわセミロングにしたってどうせ1日。あとは縛る。伸ばしてる間も縛る。そんな一瞬のかわいさより、いつも安定的にかわいいほうが断然好き」とのコメントを受けたから。夏に伸ばすってそういうことじゃん!とは思いつつ、私もショートが好きなので利害関係の一致。美容室の予約をした。

    8月23日(水)
    ルセラフィムのライブ。ライトスティックもたない、グッズ買わない、ひとりとなると、わりと身軽な参戦だった。Aブロックのいちばん後方にもかかわらず、結構近くて見えた。ガイシホールはちっちゃい。次のツアーはきっとドームだろうから、この距離で見るのも最後かなと思った。

    8月24日(木)
    美容室でカット。前髪つきショートボブに戻った。これですよ、これ。落ち着く。美容師さんが「絶対こっちのほうがかわいい」と言う。帰りに夫に頼まれた紅茶ハンティングへ。いろんな種類の紅茶を買っておいて、朝選ぶのが楽しいらしい。定番のものをひとつ、新しいものを3つ買った。主にアールグレイとイングリッシュブレックファスト。予算は預かっていたけれど、足りないので私のおこづかいを出した。帰宅した夫に、新しい髪型をたいそう褒められる。多角的に観察され、入念になでられる。「やっぱこれだねー」と言われて、トッポみたいな気持ちになる。しばらく、どんな願いでもきいてもらえそう。

    8月25日(金)
    近所の皮膚科へ。7月の終わりから他院でルメッカを始めたのだけれど、看護師さんが怖かったので転院(施術中、個人的なことを根掘り葉掘り訊いてくる人だった)。一般皮膚科がメインで、最近美容皮膚科を始めた老舗の病院。お安め、毎回無料で顔写真撮影あり、毎回皮膚科専門医の診察あり、診察はめっちゃルーペ使う、全体的な雰囲気がいい。ということで通うことにした。こういう当たり前っぽいこと、美容皮膚科はそうでもないので嬉しい。

    8月26日(土)
    夫の風邪がぐずぐず長引いている。咳だけ残っている。だるそうなので、ひとりで買い出しに行った。日焼け止めが汗とともに流れる。風は涼しくて、秋の訪れを感じる。夜、たけのこごはん、ささみの大葉チーズ焼き、九条ねぎの味噌汁を作った。ふたりとも、たけのこごはんを食べ過ぎる。野菜が入っているのでゼロカロリー。

    8月27日(日)
    1ヶ月ぶりの、文学の授業の日。大学の試験の採点を終えたらしい先生が、晴れ晴れとした顔をしていた。ミルハウザーのThe Knife Thrower。ふたりで解釈を話し合ったり(最後の女性は死んだかどうかetc)、新興宗教とカルトの違いについて教わったりした。

  • 書くこと

    全力投球タイプの文章について。

    構成がぱあっと思い浮かんだが最後、書かずにはいられなくなり、胃酸の分泌が増し、眠りが浅くなり、絶え間ない頭痛が訪れ、パソコンとプリンタがせわしなく動き始める。
    書き終わったと思ったら、次のステージの始まりだ。
    人に見せて、意見をもらって、推敲を重ねる。
    夫はこういうとき厳しい編集者で、私が密かに「なーんかしっくりこないんだよな、ここ」と感じている部分は残らず指摘してくる。
    そうやってもらった意見を含めて、ぎりぎりまで磨く。

    「文章を書くのが楽しい」「言葉が好き」と言う人をたまに見かけるけど、よく体がもつなあと思う。
    私は磨く行程こそ好きだけど、他は大きな力にひっぱられて動かざるを得ず、ぼろぼろになる感じなので、手放しに「楽しい」「好き」とは言えない。
    普段書いているのは、全力投球タイプじゃない、気楽な文章。
    書いていて胃酸が出過ぎたり、ゾーンに入ったり、丹念に磨いたりはしていない。

    でも本当は、全力投球タイプの文章をもっと書きたい。
    唯一書いたことのないジャンル、小説も書けるようになりたい。
    書くこと、というか表現を、生活と切り離せないような感じにしたい。

    家庭教師の先生が、クリエイティブライティングで修士をもっている人なので、質問してみた。
    いろいろ話したけど、大切なことの要旨は「自由だよ」だった。
    「自由になるのがたいへんなんだけどね~」とも笑って付け加えていた。
    書く練習方法を教わったので、やってみようと思う。

  • 8月14日(月)
    mikanという単語アプリと、「英検準1級 でる順パス単」という単語帳がある。以前本で覚えきっていて、今日はアプリで全てテストした。意外と覚えていた。今やっている英検1級に比べるとずいぶん易しかった。先週治ったはずの、免疫系の病気が再発していて落ち込む。もうすぐルセラフィムのライブだし、来月は手術もある。免疫を高めないと。悪化するのが怖くて、ジムには行けてない(本格的な筋トレをすると、風邪をひきやすくなるから)。

    8月15日(火)
    夫から風邪がうつる。まあ、でしょうねという感じ。軽くとらえていたら、あっというまに悪化した。治りたての夫がへろへろで看病してくれた。いつか、こういうのが日常な日が来たりするんだろうかとぼんやり思う。私が元気じゃないと夫も元気じゃないので、私は元気じゃないといけない。

    8月16日(水)
    ロキソニンを飲むと熱が下がる。効果が切れると猛烈な寒気がして発汗し、発熱する。昨日からその繰り返し。ごく軽い食事をとっても、咳で吐く。咳止めトローチすら気持ち悪くなって吐く。

    8月17日(木)
    ただ寝ているだけのことが難しい。夫がスーパーへ行ってくれた。ハロー!お久しぶり!元気だった?ハーゲンダッツ6個パックのみんな!今はのど飴が主食だけど、じきに回復して食べるから待ってて!

    8月18日(金)
    治安の悪い路地裏で、のど飴をもった強面の男性を追いかけた。彼は私をからかって挑発してくる。ようやく追いついて彼ののど飴を見たら偽物だった。代わりに、私のポケットに本物ののど飴が入っていることに気づいた。形勢逆転、今度は私が追われる。必死で走る。龍角散ののどすっきり飴、シュガーレス、カシス&ブルーベリー味のために。という夢を見て起きた。朝3時。

    8月19日(土)
    固形物を食べられるように努める。そのまま寝るとよくないので体を起こしておく。私のスマホはモトローラ製のアンドロイドで、電池がたいそうもつ。その充電がなくなるまでインターネットサーフィンをしていた。理論社のショートセレクション、第5期の刊行開始のニュース。ヨシタケシンスケの絵が素敵な短編集で、4期まで買いそろえている。8月から毎月リリースとして、5冊をまとめ買いできるのは年明けかな。楽しみだ。

    8月20日(日)
    ベッドのうえにだらしなく座り、スマホから流す音楽を聴きながら雑誌を読む、という1日を過ごした。こんなことしたの、人生で初めてだ。初めてなことに驚いた。小説を読んだり勉強したりするほど体力が回復してないのが逆によかった。好きな音楽ってこんなふうにも聴けるんだとか、雑誌ってこういう具合の日にちょうどよい情報量だなとか気づけた。

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