Writings

New Essays Every Monday

  • 猫がしゃべる場所

    enough to make a cat speak
    直訳:猫をしゃべらせるのに十分な
    意味:(主にお酒が)すばらしい

    今まででいちばんおいしかったお酒は、うちゅうブルーイングのINFINITY。
    人気だし、1年に1回販売されるかどうかくらいみたいなので、2年前以来買えてない。
    おいしさも大事だけど、入手しやすさも重視しなければ。
    そうして始めたクラフトビール巡りは、私の住む名古屋から始まって、結局名古屋に落ち着いた。
    おいしさと入手しやすさを合わせて考えると、今いちばん好きなビールはワイマーケットブルーイングのルプリンネクターだ。

    ワイマーケットの醸造所は、名駅の柳橋市場にある。
    2階の店で、作りたてのビールを飲める。
    名駅に出かけたとき、たまに寄る。
    ここで飲むルプリンがいちばんおいしい。
    ひとりでも楽しいし、人と過ごすのもいい。

    平日の開店時間は15時。
    そんな時間でも結構にぎわうから、名古屋も大人も不思議だ。
    柳橋市場に住む猫はしゃべれるかもしれない。

  • 静かな国の静かな仕事

    平日、日中はたいてい黙っている。
    体裁を繕う言葉、嘘、機嫌をとるための言葉を使わなくていい。
    消化されやすいように噛み砕いた言葉を、よどみなく話さなくていい。
    評価されるように話す戦いに加わらなくていい。
    黙っていることを叱られないし、許可を受けなくてもいい。

    平日、日中はたいてい静かだ。
    理不尽な言葉、偉い人たちの言葉、評価が耳に入ってこない。
    おしゃれな空気を作るためだけのBGMも聞かなくていい。
    電話もかかってこないから、ずっと耳栓をつけていられる。

    夫を見送って出迎えるまでのあいだ、耳栓をしたまま、誰とも話さない日がある。
    読書と思案と設計が主な私の仕事は、それでも成り立つ。
    仕事仲間とのやりとりはテキストメイン。
    月に数回の会議ではみんなでたくさん話すけれど、祭みたいな楽しい特別感があって、日常じゃない。

    先週から、幽霊になってしまった人の物語を読んでいる。
    幽霊になった自分のことを、なんとも言えない存在だと話す。
    なんとも言えない形の仕事をしている私は、彼に自分を重ねた。
    人に自分を説明するために仕事をしているわけじゃないし、周りの人たちは十分に理解してくれているから、わざわざ外向けのラベルをこしらえなくてもいいんだけど、自分の説明しにくさを煩わしく感じることがある。
    説明したくないけど、できたらいいのにと思うことがある。
    わかりやすい外向けのラベルを持っていた会社員の頃の願い、「こうなりたい」というのは叶っているので、どういう状況にいても満たされなさは残るんだろう。

    今日は雨で、近所の家の工事が休みだ。
    耳栓をしていても聞こえる音が、今日は聞こえない。
    積ん読はたくさん。仕事もたくさん。
    今週も静かにがんばろう。

  • 5月5週目~6月1週目の日記

    5月29日(月)
    折りたたみ傘を持ってジムへ。持ち手の樹脂がべとべとして困る。ただでさえ、雨で気持ちがどんよりしているのに。ミナペルホネンとSENZがコラボした、強風でも折れない傘。強風で出歩くことはないから、買い換えよう。かさばってもいい、持ち手は曲がっているやつがいい。

    5月30日(火)
    どうも調子が悪い気がしてぼけっと様子をみていたら、やっぱり調子が悪かった。鼻風邪だ。頭痛もある。葛根湯とビタミンCを飲む。ジムに毎日行くつもりが、早くも断念。冷凍のちゃんぽんにシーフードミックスを追加して夕食に。にんじんは全部夫にあげた。寒くないのに鼻水が止まらない。

    5月31日(水)
    体調が悪い人のことを、うちでは「悪人」と呼ぶ。体調が極めて悪い場合には「極悪人」になる。悪人になったときは叱られるし、風邪をうつすなと煙たがられるけど、更生への道は明るい。安静にしているだけで「えらい」と褒められる。

    6月1日(木)
    ジムへ。男子中学生3人がうしろからやってきた。全員、自転車を引いたまま、おしゃべりに夢中。端の人が私の腕にがりーっと自転車を当てた。そのまま、道いっぱいに広がっていくので、「危ないです」と声をかけた。「あ」と言われた。もう少し歩いた先に、女子中学生がいた。リュックのせいでスカートが上がっていた。横断歩道のタイミングで伝えたら、「ありがとうございます!」と言われた。差。

    6月2日(金)
    雨がすごくて、窓の外が真っ白。風も強い。朝いつも通りに出勤した夫が、昼過ぎに帰ってきた。帰宅命令が出たらしい。仮眠明けに横にいたので夢かと思った。小躍り。電車が動いているうちに戻ってきてくれてよかった。川沿いに住む友人を心配しながら寝落ち。

    6月3日(土)
    昨日の会議は初めての形だったから、前日は眠れなかったし、当日も長く緊張したままだった。おかげで今日はくたくたに煮た白菜みたいな体をしていた。オーダーしていた指輪の引き取りで栄の三越へ。石なしの、夫とまったく同じデザインの結婚指輪に変えた。今までのものはダイヤの隙間に汚れがつくのを恐れて、外していることのほうが多かったけれど、これで四六時中つけていられる。なだ万のお弁当をテイクアウト。ぜいたく。

    6月4日(日)
    ストウブの鍋いっぱいに肉じゃがを作った。しばらくのお弁当の具材。夕食にも出したら、夫が目をキラキラさせて食べていた。保存容器に詰めているとき、「大丈夫?入る?閉まる?手伝おうか?」と言ってくる。手伝うというのはつまり、追加で食べますという意味だ。「明日のほうが味がしみておいしいですよ」と返した。