New Essays Every Monday
-
時計にパンチ
punch a clock
直訳:時計にパンチする
意味:タイムレコーダーを押す、毎日出勤する朝起きて、お弁当をつくる。お湯をカップに入れて、冷まして飲む。そのかたわらで、夫が朝食を摂る。
見送って、私も朝ごはん。いつも白米と納豆。たまにしらすやネギを混ぜ込む。朝の薬を飲んで、身支度し、軽く掃除して、洗濯機を回す。あっちの部屋、こっちの部屋と、行き来する。
書斎の椅子に座る。仕事スタート。独りだなあと思う。この何にも制限されない、誰にも頼れない、自力で過ごす時間が好きだ。タイマークロックを押すので、いつもこの表現を思い出す。
夕方、時計にパンチして終業。夫との時間が始まる。 -
7月5週目の日記
7月24日(月)
マリオの映画を観に行った。今さらだと思ったけど、まだ大きなスクリーンが割り当てられていて満員だった。某キャラクターが自分たちを「戦うにはかわいすぎる」「死ぬにはかわいすぎる」と言うシーンで、夫を思い出した。帰って彼に話したら、「あれ?身に覚えが」と言っていて笑った。7月25日(火)
夕方、ビールを飲んでぼけぼけっとする。夕飯はお弁当を買ったので、作らなくていい。エアコンのきいた部屋の窓から、外の洗濯物が見える。カラカラに乾いて、風でくるくる回っている。7月26日(水)
週末の文学レッスンに備えて、ミルハウザーを読んだ。A Protest Against the Sun。家族が海で過ごす話。主人公の女の子が終始イライラしている。学者の父親が難しい言い回しで話す。母親は存在感が薄い。防寒着を着た男が現れて海岸を闊歩する。重要な部分の読解がうまくいってない気がする。昼過ぎ、スーパーに買い物に行った。溶けそうだった。今日みたいな日しかない名古屋の夏、海でのバカンスを理解できない。7月27日(木)
この前、米津玄師の「優しい人」を流しながらアイロンをかけていた。歌詞に「優しくなりたい 正しくなりたい 綺麗になりたい あなたみたいに」とある。普段日本の曲を聞かない夫が、ぼそっと「欲深いね」とつぶやいた。今日、「優しい人」の該当箇所で、彼の言葉を思い出した。しんみりした曲なのに、最後に吹き出してしまう。7月28日(金)
The Knife Throwerの予習。ナイフ投げを芸とする人の話。やってる人も怖いんだけど、アシスタントに協力を求められたときに、嬉々として手を上げる観客も怖い。7月29日(土)
日帰りで東京。4年ぶり。名古屋駅がたいへん混雑。朝からぴよりん(名古屋コーチンを使ったひよこ型スイーツ)に行列ができている。私は人よりぴよりんの数が多かった時代を知っているので、予約しないと買えない最近の状況をほほえましく思う。昔都心に住んでいたくせに、電車を乗り間違えた。京浜東北線の各駅停車に乗りたかったのに、快速に乗ってしまった。用事をすませたあと、東京駅のリラックマストアで夫におみやげを買う。名古屋に戻ると、人の少なさにほっとした。電車から見える空が広い。名古屋が好きだ。7月30日(日)
文学レッスンの日。A Protest Against the SunとThe Knife Throwerの予定が、前者に時間を食ってしまい、後者は来週になった。A Protest Against the Sunは、今まで読んでいたミルハウザーの作品よりもだいぶ古く、最近のと英語の感じが違う。「なんか重要な点を読み逃してる」という予感は当たりで、先生に質問してようやく細部の理解が追いついた。なるほどなるほど、父親がめちゃくちゃ嫌な人だ。先生が「こんなイメージ」と父親の台詞をいかめしく朗読してみせてくれて、「あーこういう人ほんとに勘弁」と思った。授業の終わりに、「先生に会ってから、先生のクリエイティビティに感化されてブログを再開したし、この前エッセイをコンテストに応募したんですよ」と伝えたら、喜んでくれた。勇気を褒められた。大学の採点業務が終わったら読んでくれるらしくて、嬉しい。 -
かぼちゃに変わる
turn into a pumpkin
直訳:かぼちゃに変わる
意味:帰りが遅くなる終電間際に使いたい、大好きな表現。
「まだいいじゃん」と引きとめられて、「いや、かぼちゃに変わるんですよ」って言いたい。名古屋はおもしろい街だ。
東京がとりわけ違うだけなのかもしれないけど、夜の7時には出歩いている人が少なくなる。
名駅もそうだし、栄もそう。
発達している地下街の店も8時には閉まる。
外にいないだけで、店で食事している人はそこそこいると思うけど、街の静けさは都会とは思えない。
人々は、8時の電車で帰って、10時には寝てそう。
そして早起きしてモーニングに出かけてそう。東京でわりと夜遊びしていた私が今しないのは、名古屋の夜の健康的な感じ、さみしい感じの影響もあると思う。
酔っ払ってご機嫌な人とすれ違ったり、酔っ払った人ばかりの電車で連帯感を感じたりするのも楽しいけれど、叶わない。この前、東京に行った。
夏休み、かつ週末ということも重なって、激混みだった。
次は閑散期の平日に行って、なつかしい人たちとごはんを食べたい。
近場に宿をとっているからと、夜遊びして、かぼちゃになりたい。